アタック of d-upcar.net 参考書



  1. 全長調整式車高調を使った低車高
  2. ドレコン参加や雑誌取材を受けるなら必要十分な車高
  3. イベント遠征や普段乗りも快適
  4. 全開走行ができる
  5. 路面に貼りつく滑らか走行
  6. インナーを切り上げず、予算的にも楽

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トレンドを変えた足まわり

 08年春に脚光を浴びて以来、極低重視だったそれまでのKカードレスアップに“全開走行できる低車高”という新しい考え方持ちこんだ広島県のプロショップ、アタック。
フェンダーがリムまでかかる低車高にもかかわらず、全開走行中も快適さも十分残したセッティングは、まさに衝撃的だった。タイヤハウス内も無加工、もしくは若干の叩き上げ程度でできるので、予算的にも嬉しいローダウンと言えるだろう

 もちろん車高を下げる方法やスタイルは様々ある。そんな中、低車高で高速走行を楽しむオーナーたちが増えつつはる今だからこそ、“アタック車高”を完全解明。同時に、誤解が多い全長調整式車高調のセッティング術も紹介しておこう。

注意:今回紹介した車高調のセッティングは、アタックから発売される全長調整式車高調、フォーミュラ01を基準にしています。他メーカーの車高調で調整する場合は、製品の性能差を考慮しながら、参考にしてください。

低車高×高速走行×快適仕様

 車高が低くても、車高短特有のガタガタした揺れがなく、快適に高速走行ができる。そんな足まわりをセットアップするのが、アタックの小早川社長。その秘訣を聞いてみた。
「それは、足まわりがちゃんと動いているからなんです。たとえば、ウチのお客さんのクルマが走っている姿を見ると、地面をなめるようにして、スイーッと走っていくでしょう。それは、足まわりが機能していて、しっかり動いているからなんですね。車高が低くても、適切に足が動けば、走りはずっとよくなるんですよ」
 では、実際に“足が動く”とはどういうことなのか説明しよう。

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 本来足まわりは、サスペンションを含めたアームなどの総合的な働きで、路面からの衝撃を吸収するほか、進路変更やコーナリング時の安定した走りを保ってくれる。これは、スプリングの固さ(バネレート)やショックアブソーバーの固さ(減衰力)、アームのスムーズな動きで可能になる。
 ここで問題になるのが、ドレスアップ特有の低車高。車高を下げることで、サスペンションや純正アームの動きが制限され、乗り心地も悪くなる。そのうえ、全長調整式車高調のセッティングがうまくできていなかったり、逆にその長所をすっかり殺してしまうあやまった調整も意外に多く、それがスピードを出せない、乗り心地が悪といった結果につながっているのだ。

 そこで、車高調を正しくセットアップし、サスペンションやロアアームをスムーズに動かすのが、アタックが言う“足が動く”ということなのだ。
 ここでは動く足まわりを実現するため、車高調のセッティング方法に加え、低車高対応のロアアームの交換を解説する。さらに、車高を煮詰めるための、テスト走行も紹介するので参考にしてもらいたい。
 この記事を読んでもらえば、全長調整式車高調の乗り心地が、すっかりよくなることは間違いない。


  1. 車高調は全長調整式を使用
  2. スプリングは縮めない
  3. パネレートは6キロ前後
  4. 減衰力は6からスタート
  5. 全長の目安は減衰力のダイヤルとブーツの距離
  6. 長穴でキャンバー角を稼ぐ
  7. 固着防止剤で調整部を守る

全長調整式車高調

 今回取材で使っているのは、アタックが開発した新作車高調のフォーミュラ01。スペックは全長調整式、減衰力8段。ピロアッパーでキャンバー角を調整できるほか、ブラケット部でのキャンバー角調整もできるので、多彩はセッティングが可能になる。フロントは150ミリのショートスプリングを装備し、バネレートは4キロから8キロの間で、好みに応じで選べる。リアのバネレートは4キロになっている。

 フォーミュラ01の最大の特徴は、低車高でストリートを走るために開発されたことにある。セッティングをしっかりできさえすれば、乗り心地がよく、コーナリングでもよく踏ん張り、なおかつ高速走行でも快適に走れるというポテンシャルを発揮する。まさに、低車高快適走行をトレンドにした、アタックならではの車高調と言えるだろう。

Formula 01
フォーミュラ01

189,000円より 
※フロントスタビリンクが必要なクルマは別途12600円必要

適応車両
ワゴンR(MH21、22、23)、アルト(HA24、HA25)、パレット、パレットSW、ルークス、ムーヴ(L175、L150)、タントなど。その他の車両は要問合せ。
ホンダ車は純正アッパーマウントを流用するため要応談


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全長調整式車高調の基本

 全長調整式車高調とは、別名フルタップ式車高調とも呼ばれるサスペンションキットのこと。その構造はタンパーやショックアブソーバーとも言われるシェルケース全体(フル)にネジ(タップ)が切られていて(写真1)、ケースの全長を調整することで、車高を変えることができる。

 これに対して、従来のものはネジ式車高調と言われ、スプリングを縮めることで、車高を調整する。ただし、スプリングを縮めるということは、バネの反発力(プリロード)が強くなり、乗り心地も固くなる。当然、段差などで跳ねたり、路面の凹凸をひろって小刻みに揺れるなどデメリットがある。つまり、ネジ式車高調は設定車高より低くしようとすると、乗り心地が悪くなってしまうのだ。

 全長調整式車高調はスプリングを縮めず、ケース長を変えることで車高を上げ下げできる。スプリングを縮めないので、ネジ式車高調とちがってストローク量を稼げるのだ。そのため、路面状況に応じて足まわりをしっかりと動かすことができる。つまり、車高を下げても、乗り心地を確保できるのが特徴だ。

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プリロードを知っておく

 全長調整式車高調は、スプリングを縮ませず、伸びた状態でショックに取りつけるのが基本。ただし、ドレスアップのオーナーは、あやまってスプリングを縮ませてしまうことが多い。そこでここでは、スプリングの荷重(プリロード)について、すこし説明しておこう。
 スプリングは、縮んでいない状態を、プリロードゼロと言う。プリロードとは、スプリングに掛かる荷重のこと。もしスプリングを5ミリ縮ませるなら、「プリロードを5ミリ掛ける」とか「5ミリ増やす」と言う。略して「プリ」とも言うので覚えておこう。例えば「プリは掛けてません」なんていう言い方。反対にプリロードを弱めることを「プリロードを抜く」と言う。
 もちろんプリロードを掛けると足まわりが固くなる。人によっては「固い足まわりが好きなので、プリを5ミリだけ掛けてます」と言うこともある。



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プリロードはゼロが基本

 ドレスアップで足まわりをセットアップするのなら、プリロードをゼロにするのが基本。スプリングの下にあるロアシート(車高調の受け皿)を上げていき、スプリングの遊びがなくなったところで固定する。「車高調に収まったスプリングが、手にちょっと力を入れればクルクル回せる程度が、プリロードゼロの目安です」とは小早川社長。

 ここで意外によく見かけるのが、プリロードをガンガン掛けてしまうオーナーたち。ネジ式車高調のイメージが残っていて、スプリングを縮めて車高を落とそうとしてしまうのだ。実はこれが大間違え。全長調整式は、その名のとおり、シェルケースの全長を調整することで車高を変えるので、スプリングを縮めても、車高は落ちないのだ。逆にプリロードが掛かって足まわりは固くなり、無意味に乗り心地を悪くしているというワケだ。


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「そのうえ、ボディにもよくないことがありますよ」と、小早川社長。「必要以上にプリロードを掛けてしまうと、足まわりが路面からの衝撃を吸収できなくなって、ピロやアッパーマウントに振動や荷重がかかってしまいます。最悪アッパーマウントが破損したり、ショックが抜けてしまうこともありますね」

プリロードを掛ける場合

 もちろん、プリロードをワザと掛ける場合もある。
足まわりの固さなど、好みによっては若干プリロードを掛けるオーナーもいる。この場合、数ミリから、多くて数センチと言えるだろう。

 しかし、ドレスアップのスタイルやローダウンの程度によっては、プリロードをしっかり掛ける人がいる。これはストロークをさせずに乗らなければいけないというオーナーたちだ。ストロークさせると、ボディやエアロを地面に擦ってしまうような極低車高のクルマや、ホイールのリムとフェンダーの隙間がほとんどないツライチの人。タイヤホイールとタイヤハウスのインナーのクリアランスをギリギリにしている人などが該当する。ストロークさせないようにサスペンションの減衰力をマックス、つまり一番固くして、さらに足まわりを堅めなければいけないというオーナーたちが、プリロードを掛けている。
もちろんサスペンションが固定に近い状態になるので、路面のギャップをひろってポンポン跳ねるなど乗り心地が犠牲になってしまう。当然アッパーマウントへの負担も大きい。

 その半面、純正のサスペンションはプリロードが強くかかっている。たとえば、3キロのスプリングを使っているとすれば、6キロほどの荷重をかけていることが多い。「純正はうまくプリロードを考えて作ってあるんですね」とは小早川社長。そのため、サスペンションに純正のスプリングを組む場合、特殊な工具でスプリングを縮ませなければならない。

バネレート

 乗り心地に大きな影響を与えるのがバネの固さ。これがバネレート(スプリングレート)だ。バネレートとは、スプリングを1ミリ縮める重量のことで、kg/mmで表記される。4キロのスプリングなら4kg/mmとなる。スプリングが固ければ「バネレートが高く」、柔らかければ「バネレートが低い」。「バネレートは6キロです」という言いまわしを聞いたことがあるはずだ。
「今回デモカーに取りつけた車高調は、買う時にフロントのバネレートを4キロから8キロの範囲で選ぶことができます。うちのお客さんでは、5、6、7キロが多くて、今回の取材で使っているのは6キロです。リアは4キロで統一しています」

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 当然、このバネレートが、乗り心地を決める大きな要素になる。
「たとえばウチの4キロのバネを入れるとします。ここでショックの減衰力を調整すると、思った以上に変化が判りますね。乗り心地よく走るのなら、4キロから6キロぐらいがいいと思います。あとは好みですね。逆に注意しなければならないのが、弱い減衰力のショックに固いバネを入れることです。ショック自体がスプリングに対応できなくて、ショックが抜けたり、ピロがダメになったりします。やっぱりショックに見合ったバネをつけて、調整した方がいいですよ」

減衰力を調整する

 走行中、路面からの衝撃を吸収するのがスプリングの役目。ただしスプリングだけでは、一度の衝撃でボディが浮き沈みを繰り返して揺れが収まらない。そこで、ショックアブソーバーに注入された特殊なオイルを抵抗として使い、スプリングの過渡な収縮を抑えているのだ。この力を減衰力という。減衰力固定式の車高調は、車種ごとに設定されたバネレートとダウン量により、理想とする減衰力が決められている。それに対して、減衰力調整式の車高調は、ダイヤル等を使って自分で減衰力(ショックの固さ)を調整する機能が盛り込まれている。
 一般的に減衰力は一番低い(柔らかい)ものを1として、固くなるほど数字が大きくなっていく。つまり8段階調整の場合、8が一番固くなる。

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「フォーミュラ01は減衰力が8段階で調整できます。ウチで減衰力を調整するとき、まずはじめにちょっと固めの6に設定して、テスト走行をおこないます。もしこれでインナーなどに当たってしまうなら、もう1段階上げて7にして、足まわりを固くします。もちろん固くした分、乗り心地は悪くなりますね。だから乗り心地をよくするのなら、6に戻して、ちょっと車高を上げてみるのもひとつの方法です。車高を上げたくないという人は、インナーの当たる部分を叩き上げて調整します。そういった選択は、お客さんの好み次第ですね」

 減衰力は、テスト走行を繰り返しながら調整していく。そうやって足まわりのベストな固さを探していくのだ。詳しくはテスト走行の欄を参照。

「これはうちの車高調特有の調整方法なんですけど、減衰力を調整するとき、一番最初にマックスの8(固い)にしてもらって、そこから緩める方向で調整してください。たとえば、3にするとしたら、ダイヤルを1から2、3、ではなくて、8から7、6、5……、という具合に調整して3にします。それから、ときどき2、1、の次にゼロやマイナス1があったりします。これは“幻の1段”なんですけど、このゼロやマイナス分は無視して1でとめるようにしてください」

全長の目安

「フロントの全長調整は、プリロードをゼロにするのが基本になりますから、あとは、シェルケースの全長を調整して車高を変えていきます。このフォーミュラ01で、全長の目安にしているのは、ケースの下にある減衰力の調整ダイヤルと、ドライブシャフトのホイール側のブーツの間に指が1本入る程度の距離です。ここを基準にして、もう少し下げたいのなら、ショックの全長を変えて行きます」

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より深く、キャンバー角を稼ぐ

「キャンバーはピロアッパーで調整(写真1)できますが、このほかに下のブラケットでも調整できるよう、長穴設定がしてあります。このパーツがつくことで、ピロアッパーだけでキャンバー角を調整するより、さらに深く寝かすことができるんです」

 長穴の機能を説明すると、長く造形されたネジ穴(写真2)に、穴の位置が偏った四角いプレート(写真3)をはめ込むもので、四角いプレートを回転させると固定部分が4箇所作れるので、固定位置(キャンバー角)を微妙にズラすことが可能になる。ブラケットについたプレートで説明すると、もっともキャンバーが起きた状態(写真5)、やや寝かせた状態(写真5)、さらに寝かせた状態(写真6)、そしてもっともキャンバー角をつけた状態(写真7)となる。

 また、ロアアームと併用すれば、MH21ワゴンRやMH22スティングレーなら、フェンダー加工が必要となる16×7.0というホイールを無加工で装着することができる。7.0を入れるには、ピロでキャンバーを掛け、さらにブラケットの長穴調整部でホイールを倒すと、インナーリムとスプリングとのクリアランスが3ミリとなり、フロントのフェンダー内になんとか収めることができるのだ(リアは若干ながら、インナーの叩き上げが必要)。
いずれにしても、ピロアッパーとブラケットの2箇所でキャンバー角が調整できるので、足まわりのセッティング幅をわずかながら稼げる。車種にもよるが、このわずかな調整幅により、通常よりもキャンバー角を稼げるほか、0.5J太いホイールサイズが履ける場合もあるのだ。 

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装着前に固着防止剤

 車高調は融雪剤に含まれる塩分のほか、沿岸地域に多い潮風などで、サビついてしまう。シェルケースのネジやロックシートなどがサビで固着するので、車高調を取りつける前に、固着対策をとっておこう。
「サビとかで固着して、全長調整の部分がくっついて、動かなくなることが多いんですよ。ロックシートもダメになるので、叩いて切らないと、車高を調整できなくなるんです。結局、このタップの部分が全長調整式の命ですから、動かなくなったら終わりです」

「ワコーズから出ているラスペネ(浸透潤滑剤)を使う人が多いようですね。これをネジの部分にしっかり塗ってしみ込ませておけば、固着しにくくなります。ウチで使うのは、このラスペネよりも強力なワコーズのスレッドコンパウンド(写真1)って言う耐熱潤滑剤です。通常これはホイールのクリップボルトに塗るものなんです。他にももっといいものがあるかもしれませんが、自分たちが今までいろいろ試した中で、サスペンションのサビによる固着防止にはベターだと思ってます。車高調を組む時に、タップが切られている部分や、ケースに隠れているネジ部分など、まんべんなく塗っておきます。茶色い部分(写真2)がスレッドコンパウンドですね。腐食を完全に防ぐことはできませんが、ずいぶん効果はありますよ。水に強いけど、それでもいつかは取れてしまうので、定期的に塗っておくといいでしょう。ただケースやロックシートなどに隠れている部分は残っていますね」

「ベトベトしたものなので、これは賛否両論で、小石や砂などがくっついてしまうので、それを嫌う人もいます。だから、ここを動かすときは、しっかりエアブローをして、石やゴミを全部飛ばしてから作業をします(写真3)。もちろん、固着防止剤を塗っていなくても、車高調を調整する前に、ネジ部分の汚れをしっかり取るのが決まりごとですね。汚れたまま動でかすと、ゴミとかが噛んで、ネジ山を潰してしまいますから。それと、この固着防止剤を使ったとき、不自由な点がひとつあって、なにもしていない状態ならロックシートなどは手でクルクル回るんです。でもこいつをつけると抵抗が掛かるので、固くなるんですよ。手では回せるけど重いですね。回らないっていうことはないので安心してください。まァ、メリットのほうが大きいですから」

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“アタック車高”のメニュー:フロント編

 アタックがおこなうフロント車高調の調整メニューをまとめると、全長調整式車高調を使って、プリロードはゼロ(スプリングを縮めない)。バネレートは4キロから6キロ程度で、今回のデモカーは6キロを装着している。マックス8まである減衰力は6に設定し、そこから調整する。ケース長の目安は減衰力のダイヤルとブーツの間に指が1本入る程度。ブラケットの長穴でキャンバー角が稼げるため、車種によっては通常よりも0.5J太いホイールを履くことが可能になる。

  1. 走行中リアフェンダーがリムに被る車高
  2. アクスルは50ミリアップ
  3. アジャスターは全上げ
  4. スプリングのカットで車高を調整
  5. スプリングのプリロードはゼロ
  6. スプリングに合わせてショックの全長を調整する

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リアサスを機能させる

「リアを下げると、タイヤハウスのインナーにクリアランスがあまりないので、ストロークさせづらいんですよ。もちろんタイヤハウスを切り上げれば話は別なんですけど、そうする数十万円のお金がかかってしまう。極低にしたい人はインナーを切り上げるでしょうけど、適度に落としたいという人は、そこまでできませんからね」

「リアがある程度制限されていても乗り心地を良く解決策があって、フロントの足まわりをしっかり動かしてやれば、トータルの乗り心地がいいんです。リアに30ミリほどのストローク量をとれるようセッティングしてやれば十分です。逆に、フロントが動かないと、そのしわ寄せが全部リアに行くんです。もちろんリアのセッティングもしっかりやりますけど、乗り心地をよくするには、まずフロントを動かすことが重要なんですよ」
 フロントのセッティングは、前述の『全長調整式車高調』を参照。

エアロ装着車の注意点

 ここで注意しておかなければいけないのが、エアロ装着車。
「サイドステップと地面のクリアランスが指3本(約5センチ)とすれば、人が乗ると1センチくらいリアが下がりますよね。そうするとサイドステップと地面の間にだいたい4センチのクリアランスがあって、路面のデコボコを考えると、ストローク量はせいぜい3センチ程度になってしまいます。もし3センチ以上ストロークさせたら、サイドステップが地面に当たって、砕けたりするっていうことです。そうなると、もう3センチ以上はストロークさせられならない」
 人が乗った時の車高を念頭に、なおかつ路面のバンプも考慮して、地面とエアロのクリアランスを考えた上で、ストローク量を決定する。もちろん30ミリ程度のストロークがないと足まわりが機能しない。そうしたことをトータルに考えて、足まわりをセッティングすることが重要なのだ。

リアの調整方法

「ウチの場合、アクスルを換えないと、この車高には落ちません。リアアクスルの上げ幅は、MH21のワゴンR(MH22スティングレーも同様)では、50ミリに設定しています。まずリアは、アクスルでストローク幅を稼いであげることが重要です。加えてアジャスターは全上げ、つまり最低車高に調整します。今回、車高調に使ったフォーミュラ01の場合、リアのスプリングがカットできるように設計されていて、そこでも車高を落とすことができます。本来プリングはカットしてはいけないものなんですけど、このスプリングは一定量カットできるように最初から設定されているんです」
 もし通常のスプリングで落とす場合は、社外のショートスプリングを流用し、あとはアジャスターで調整するといいだろう。

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スプリング

「リアの足まわりをストロークさせるため、リアのバネレートは4キロです。お客さんがこのスプリングを見ると、ヤワヤワなので、本当に当たらないように乗れるんですかって聞いてきますよ」と、小早川社長。
 もちろん、後で説明するように、ショックのストローク量が30ミリほどに制限されているほか、当たらないように車高がセッティングされているため問題はない。
「軽自動車であれば、4キロで十分です。固い人でも6キロですね。8キロを入れる人は、ベタ車高でストロークさせたくないっていう人です」

プリロード

「リアサスペンションの基本的な状態は、リアスプリングにプリロードを掛けずに、手でスプリングをグルッ、グルッて回る程度に、リアショックの全長で調整します。リアショックを伸ばせばスプリングが遊んでくるし、逆に縮めればスプリングにプリロードが掛かるということです。リアもフロントと同じで、プリロードゼロになるように、ショックで調整するんです」

「ときどきスプリングがガランガランに遊んでいるいる人を見かけますが、これは危険なのでやめたほうがいいですね。逆に、ショックやスプリングを縮めている人もよくいます。つまりショックの全長調整も縮めて、プリロードを掛けてしまっているんですね。これもフロントと同じで、ショックを縮めると車高が下がるって誤解しているんです。でもこれでは足が動きません。ショックの全長を縮めてプリロードを掛けてしまっているんですが、これは調整のやり方があべこべで、プリロードをゼロにしたスプリングに合わせてショックの全長を調整するのが正しい調整方法です」



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スプリングを切って車高を調整

 「フォーミュラ01は、150ミリのスプリング長なので、短く設定されています。しかもある程度まで切って、車高をさらに下げることが可能です。スプリングを切ったら、その長さに合わせてリアショックの全長を短くします。だいたい2巻き半は切れる幅を持たせています。切る分は、スプリングの機能として必要のない部分なので、安全上も問題ありません。ホント言うと、バネの機能がない部分は4巻き分あって、全部切るとかなり短くなります。でも、いざというときを考えると2巻き半がベターと言えるでしょうね」
スプリングを切る時は、最初にそのまま取りつけて車高や様子をみて、少しづつ切り増していくといいだろう。一度でも切りすぎると、当然元に戻せなくなからだ。仮に切りすぎて、車高が低くなった場合はブラケットで調整し、車高を上げることができる。
「フォーミュラ01は150ミリのショートスプリングを使っていますけど、結構余裕があるから、切らずにポン付けすれば、車高は若干上がり気味になります。最初はここからはじめて、好みで落としていくといいでしょう」

走りの車高の目安

「重要なポイントは、どのくらいの車高にするかです。ウチの場合、高速道路も一般道も、ローダウンして快適に走る目安は、フェンダーがリムに被るどうかくらいの高さに考えています。これはイベントに来るオーナーたちに多く見かけるダウン量で、よく言う“16インチのリム被り”ですね。通常の車高では、フェンダーとリムの間にちょっと隙間が出来るけど、人が1人か2人乗ると10ミリくらい落ちるので、リムにちょっと被るという車高です」

 ただし、低車高になるとリアのサスペンションがストロークして、タイヤがインナーに当たってしまう。そこでアタックは、ショックのストローク量を制限し、タイヤがインナーに当たらず、なおかつスプリングとショックを動かして乗り心地を得るというセッティング方法を採っている。ただ車高を下げただけでは走れないので注意しよう。


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ショックのバンプラバー

 リアの車高を低くしすぎると、タイヤがインナーに当たってしまう。そこでアタックでは、車高調のセッティングを綿密に行なうほか、必要以上にストロークしないよう、ショックに制限をかけている。
「これはウチ独特の方法だと思うし、他にもいろいろな方法があるから、好みが別れる部分だと思います」と小早川社長。「最近の車高調には、リアのショックにバンプラバーを組み込んだものがあるんです(写真の矢印)。もしストロークしすぎることがあっても、このバンプラバーに底突して、車高の過渡な沈み込みを制限してくれるんです。ウチはこのバンプラバーを計算に入れて、ストローク量を30ミリくらいに設定しています」

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「バンプラバーがついていない車高調もあって、そのままガンガン底突きさせると、ショックが抜けたりマウントが破損するなど、トラブルの原因になります。バンプラバーがついていたとしても、リアのショックをどんどん縮めていたら、底突きがしょっちゅう発生するので、これもやめた方がいいでしょうね。ウチはある程度ショックを伸ばしてやることで、底突きしてもいいようにセッティングできるんですよ。それもあって、スプリングを必要以上に切って縮めたりせず、プリロードがゼロになるようショックの全長を調整することが重要になるんです」

「もし、ショックにバンプラバーがついていない車高調をつけているのなら、バンプラバーを作るという手もあります。これはリアの純正のバンプラバーを流用します。このバンプラバーを切ると輪切りのゴムになりますが、そこにドリルで穴を開けて、ちょっと柔らかくするんです。それをリアのショックに取りつけるんです。これで底突きも軽減されますよ」

「もちろん伸ばしたショックの中で底突きさせるっていう考え方は、嫌だって言う人もいます。全開にストロークさせたいっていうふうに。ただし、ストロークする量が大きいとタイヤがインナーに当たってしまうので、走れるようにするには、インナーを切り上げることになりますね。そうすると予算もかなりかかってしまうので、ウチではストロークを途中で止めてしまうこの方法を、早くから採っているんです」

リアの減衰力

 リアの減衰力もフォーミュラ01の場合、6にしてからテスト走行をして調整する。もちろん、インナーに当たった場合、車高を高くするか、減衰力を固くするか、もしくはインナーを叩き上げるかはオーナーの判断。詳しくは、フロントサスペンションの減衰力調整と、テスト走行の記事を参照。

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“アタック車高”のメニュー:リア編

 アタックで採用するリアのメニューをカンタンに説明すと、アクスルは50ミリ上げ、車高調のアジャスターを一番上げ(もっとも低い車高)て、スプリングは2巻き半カットする。そのスプリングがプリロードゼロになるよう、リアショックの全長を調整する。リアショックにバンプラバーのないものは、自作等をして取り付ける。減衰力は当初6にして、そこからテスト走行をして調整する。これで、走行中はフェンダーがリムに掛かる車高になり、低車高での高速走行が可能になるのだ。


  1. 足まわりがバンザイする
  2. ドライブシャフトがフレームに干渉
  3. ロアアームが当たってストロークしない
  4. ブッシュの歪みがアームの動きをさまたげる
  5. ブーツの破損に注意
  6. アームの交換で以上の問題点を一発解消

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フロントのサスをさらにスムーズに動かす方法

 車高調を最適にセッティングすれば、車高を下げることができるし、そこそこの走りも実現できる。しかし、高速走行を快適に、となると、車高調のセッティングだけでは限界がある。なぜなら、ここまで低車高になると、純正のアーム類の動きが制限されてしまい、車高調本来の能力を発揮できなくなるからだ。

 車高を下げると、ドライブシャフトとロアアームがホイールに向けて上向きに傾く。これが“バンザイ”状態と言われる低車高車特有の症状だ。これにより、ロアアームがフレームにつかえてしまうほか、ゴムブッシュがねじれてテンションが掛かり、ロアアームがスムーズに動かなくなる。これを解消し、快適に走れるようにするには、低車高に対応した社外品のロアアームに交換しなければならない。
ここでは、バンザイ状態とロアアームについて、詳しく説明していこう。

足まわりにトラブルを引き起こす“バンザイ”状態

「よく、ショックが底突きするって言う人がいますけど、本当は純正のロアアームが動かなくなっていることが多いんですよ。そこで、低車高対応のロアアームに交換して、アーム自体がよく動くようにしてやるんです」
純正車高では一般的に、ロアアームは“ハの字”に向いている。ところが極低車高にすると、ドライブシャフトとロアアームが“逆ハの字”になってしまうのだ。これがドレスアップオーナーたちの間で、“バンザイ”と呼ばれる状態だ。これによりアームの動きが悪くなり、サスペンションのスムーズな動きを損なってしまうのだ。

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 ドライブシャフトがバンザイすると、フレームにつかえてしまうので、トンネル加工をおこなって、干渉を回避するのはよく知られる低車高の加工法。
「低く乗るためには最低限必要なことですよ。そうじゃないと、ドラシャがフレームにガツガツ当たって、そこでストロークが止まるんです」と、小早川社長。
撮影で使われたMH22はトンネル加工が行なわれたばかり(矢印A)。ドライブシャフトにフレームが干渉していた跡(矢印B)がクッキリと見える。

ブーツの破損に注意

 特に低車高になったクルマはドライブシャフトのブーツ(写真の矢印)の破損に注意したい。これはドライブシャフトのエンジン側にあるゴム製のダストカバーで、バンザイ状態になると、純正車高ではありえない角度にブーツがねじれるため、走行中に負荷がかかって破れてしまうのだ。当然ホコリ除けが破損すれば、そこから小石や砂が侵入し、内部を破損させてしまう。ドレスアップに限らず、クルマのメンテナンスという点でも、ダストブーツの破損は赤信号と覚えておこう。

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 ところが、ダストブーツはホイールなどに隠れているので、チェックしづらい部分。足まわりから異音がしたり、なんらかの障害が出て初めて気づく箇所でもある。もしダストブーツの破損を見つけたら、すぐに修理に出さなければならないし、二度と破れないよう対策を施さなければ、換えたブーツはまた破れてしまうだろう。
結局のところ、なんらかの方法でドライブシャフトのバンザイを解消しなければならないのだ。
※写真は低車高用のロアアームを装着した状態です。

純正ロアアームが当たる

「フロントの足まわりが動かなくなる一番の問題はここなんです(写真1)。ロアアーム(矢印A)を固定するボディ側のメンバーがあって、そこにエンジンが載っているのでエンジンメンバー(矢印B)とも言うんです。この状態ではクルマがリフトに乗っているので、ロアアームとメンバーの間にクリアランス(写真2)があるけれど、地面に降ろすと車重がかかるので、アームが持ち上がってエンジンメンバーにつかえて、動かなくなるんです。だから乗り心地が悪くなるのはもちろんだし、多くの人はここにアームが当たった衝撃を、ショックの突き上げと勘違いするんです」


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ねじれたゴムブッシュで動きが悪化

「もうひとつ、足まわりの動きを悪くする原因があって、それがロアアームのタイヤの付け根側にあるゴムブッシュ(写真1)です。アームがバンザイすると、ブッシュが変な角度にねじれて(写真2)、ゴムがパンパンに突っ張ってしまいます。ゴムにテンションがかかって、アームがスムーズに動かなくなるんですね。足まわりがストロークしないっていうことは、ドライブシャフトやアームがメンバーに当たってしまうからなんですけど、当たるより先に、ブッシュがねじれて動きを妨げているんです」

「結局、どんなにいい車高調をつけても、ねじれたゴムブッシュが動きを制限しているから、乗り心地が悪いんです。みんな、こんなもんかって思って乗っているし、車高調が底突きしているとか、車高調の性能が悪いって誤解しているんですね。当然バネも効かないし。それでバネレートのちがうスプリングに換えるけど、根本の原因がそのままだから、ちょっとはよくなったとしても乗り心地の悪さはほぼ改善されません。バネを換えたり減衰力を調整する前に、まずはロアアームの干渉とゴムブッシュの捻じれをなくさなければ、快適に走ることができないんです」

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ロアアームでバンザイ状態を一発解消

 数々発生するフロントの問題点を一発解消するのが、低車高用に設定されたロアアーム(写真1)の装着だ。低車高をキープしながら、足まわりをスムーズに動かす方法とし、ここ最近、知られるようになってきた。
「このロアアームに交換すると、アームのバンザイ状態を補正し、同時にゴムブッシュの捻じれも解消します。形はリアのアクスルキットと同じで、アーム自体に段差(写真2)を作ってかさ上げして、アームの角度を直してくれるんです。ロアアームがバンザイしなくなるし(写真3)、ブッシュも楽な角度になるので、その結果として、サスペンションがスムーズに動くようになるんです」
 快適な低車高高速走行をするのなら、いまや必須のパーツとして、オーナーたちの間で装着率が高まるロアアーム。その効果は絶大で、初心者オーナーでも乗ればすぐに判るほど。サスペンションの動きが適正化されるともに、長い高速コーナーでの安定した挙動も実現する。アタックでは、この社外ロアアームに換えることで、足まわりを正常に動かし、スムーズな乗り心地や高速走行での安定性を実現しているのだ。

 アタックではパルテック製のロアアームを装着しているが、その他にも数社から発売されていて、現物加工で2万円そこそこから、高機能なものでは10万円ほどの価格で購入することができる。

※ロアアームの詳しい説明は、“D-up.参考書”にあるパルテックの「可変アクスルキット&ロアアーム」の記事を参照。

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  1. 足まわりを組みあげたらテスト走行
  2. 重量物を乗せ、車高を落とし気味に走る
  3. テストコースには段差やカーブがある
  4. 当たったら調整して、再びテスト走行
  5. 低車高にするならインナーを叩く
  6. テスト走行と調整を何度も繰り返し問題点を解消する

テスト走行術

 低く走るには、単に足まわりを組んだままでは不可能。実際にテスト走行を繰り返し、できるかぎり低く、それでいてタイヤが干渉せず、しかもある程度の快適性を備えたセットアップを煮詰めていかなければならない。走っては調整し、調整したらさらに走るを繰り返すことで、アタック車高に仕上げられていくのだ。

「工場で、ある程度理想の低さまで車高を落としたら、実際に走りに行って微調整します。今まで何台も作っているので、このくらいのストローク幅で、タイヤとインナーの天井までのクリアランスがこれだけあれば大丈夫だろうっていう見当がつくので、まずはそこまで車高を下げます。それからテスト走行ですね。とにかく車高調を組んだら、徹底して走ります。半日の間にテストコースと工場を何度も往復して、微調整しては走り、微調整しては走りの繰り返しです」


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「いつもテストで走る場所があって、ウチのスタッフ(体重100キロ)をウェイト(重り)代わりにリアシートに座らせて、そこへ走りに行くんです。何度も同じ場所を走り直すんですけど、そのたびにスタッフはリアシートの右に座ったり、左に座ったり、真ん中に座ったりして、当たる箇所を探します。そこはある程度のスピードで入っていけるコーナーがあったり、段差があったり、スピードが乗ったところでフワッと浮き上がってからサスが沈み込むところがあるんです。もしウチのテストコースでタイヤが当たらなかったら、高速でどこに行っても、まず当たることはありませんね」

「注意する点は、タイヤハウス内にタイヤが干渉していないかどうかです。走ってみて、かすかに擦れる程度だったら、ショックの全長を若干伸ばしてやる。それでもう一度走って当たらなくなれば、OKです。もし、オーナーさんが低くしたいというなら、どこが当たるか徹底的に調べて、インナーを叩きあげます。ウチが今やっているのが、一番お金のかからない車高の落とし方だと思いますよ。その次元を越えると、インナー切り上げになってきますから」

走りの性能

 足まわりはしっかりと引き締まっているので、乗り心地のいいスポーツカーや、ちょっと揺れるドイツ車というフィーリング。
特に驚かされるのが、走る姿を見た時だ。路面に吸いついて走る姿は、後ろから見ると、低いエアロにタイヤが隠れるため、地面から3、4センチほど、浮き上がって飛んでいるようにさえ見える。小刻みにカタカタ揺れたり、段差で跳ねたりという挙動がなく、スイーッとスムーズに進んでいくのだ。
「それだけ足がよく動いているということなんです」
 つまり路面のギャップを足まわりが追随し、ボディの上下動や路面からの衝撃をサスペンションが常に受け止めているのだ。

「普通、高速では前のクルマを見ながら走って、段差とかでガクッと跳ねたら身構えるじゃないですか。でも、イベントの行き帰りに、ウチのクルマが前を走ると、段差で揺れないので、後ろのクルマは突然ドーン!てなってビックリしてます。身構えていないから、急に来るんですね」

 もちろん、高速走行するということは、直線スピードだけではない。コーナリングもスムーズにクリアできるよう、車高調が設定されている。
「踏ん張らないショックだと、全開でコーナーに抜けるとき、外にはらんでいくんです。足まわりが踏ん張りきらずに、外側にズリズリふくらんでいくというか。ストロークしない足まわりでも、同じ現象が起こりますね。曲がりにくいですよ。フォーミュラ01は、そうしたことを解消できるように開発しています」
 ロアアームの交換も、コーナリングやハンドリングの性能に役だっていることも覚えておこう。

インナー処理

 「ストロークをすると、他に処理しなければならないものも増えてきます。タイヤハウスのインナー加工などがそうですね。たとえば、1センチほどのストロークなら、インナーを加工することはほぼないと思います。でも3センチ、4センチってなってくると、車高にもよりますけど、インナーを叩き上げないと当たってくる可能性があります。逆にストロークが6センチとかってなると、今度はエアロが地面を擦る可能性も出てくるんですね。だからウチでは、ストローク量を30ミリほどに抑えて、インナーの加工も最小限で済むようにしているんです。それに、30ミリもストロークさせられれば、あとはバネレートや減衰力とかで、快適に走らすことができますから」

“アタック車高”のメニュー:乗り心地編

 アタック車高のトータルスペックを参考にするのなら、バネレートがフロント6キロ、リア4キロ、減衰力は前後とも6(8段階調整の場合)、ストローク幅は30ミリを基準に覚えておきたい。

オートワールド アタック

   広島県安芸高田市吉田町相合1300-1
   TEL.0826-47-1107
   HP.http://attack01.web.fc2.com/index.html

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Kカー車高を変えた“安芸高田”仕様

 2008年の春、低車高で快適に高速走行を可能にする足まわりが知られて以来、またたく間に全国的に知られる存在となった広島県のプロショップ、アタック。

 走れる低車高というアイデアを生み出したのは、じつは安芸高田という立地条件にある。地元のオーナーたちは、クルマを1台だけ所有していて、ドレスアップコンテストはもちろん、仕事や買い物も、その1台で全てをこなしている。しかも周囲が山に囲まれているため、人によっては通勤で峠越えをしなければならない。つまり、快適に速く、普段乗りも十分できることがドレスアップの条件になってしまうのだ。しかもドレコンにエントリーすれば、低車高は必須。ということで編み出されたのが、高速走行できる低車高。そんなローカルな“安芸高田”仕様の足まわりが、Kカードレスアップのトレンドを大きく変えたのだ。

 山の懐に寄り添うように建っているショップ。スタッフは、次々に新しいアイデアを生み出す小早川社長を筆頭に、事務を担当する元走り屋の奥さま、そのみさん(昔はかなりカッ飛んでいたらしい)。そしてメカニックからエアロの造形、時にはテスト走行のウェイトとしてかりだされる、体重100キロの優しい巨人、塚原さんの3人だ。

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車高短対応の設備

 ドレスアップのショップらしく、お店の入り口はほぼフラットに作られている。
「車高短が入れるようにしています。入口からピットまで、そのまま入っていけますよ。このオデッセイも通るくらいですから。逆にここをクリアできんヤツは、道を走っていてもシンドイです」
 しかも工場は車高短が楽々乗るリフトを装備。普通のリフトは段差があって、極低車高だと乗れないことがあるのだ。
「このリフトがなかったら、車高短なんか作れなかったですよ。柱もないので、作業も楽です。その分価格は、普通のリフトの3倍しますから。買う時はすごく悩んだんですよ」

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お店の名所1:ボクの洗濯機

「これ、ボクの洗濯機じゃけェ」と紹介する小早川社長。東芝の最洗ターン4.0、懐かしい二層式。「これでメカニックブローブを洗うんです。ときどき子供たちの靴も洗います」

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お店の名所2:大自然!

 お店の目の前には広い田んぼが広がっている。
「これは稲です。収穫は秋。店と田んぼの間にやんべ川っていう流れがあって、通称ホタルの里って言うんです。ハヤも泳いでますからね。のどかでショ!」と、周囲は大自然! その大自然が、アタック車高を生み出した。

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お店の名所3:戦国時代

 裏山には毛利元就(戦国武将:1497年-1571年)のお墓がある。
「毛利元就の“三本の矢”って有名でしょ。3人の息子を呼んで、1本の矢はカンタンに折れるけど、3本になれば……っていうアレですよ。Jリーグのサンフレッチェ広島のチーム名にもなった話です」
 7月から放送開始のアニメ『戦国BASARA弐』(ゲームが原作で歴女にも人気。……らしい)にも登場する有名な武将。アニメの登場人物のお墓が裏山にあるショップは、ここをおいて他にはない。

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実は、地域のお店!

 ショップの中は広く明るく、ドレスアップ雑誌もいっぱい用意されている。この日は取材中、近くのおばちゃんとおじちゃんが、それぞれバッテリー上がりの点検とオイル交換にやってきた。写真はバッテリーを交換する小早川社長。
「もっとお年寄りのお客さんも来ますよ。来ると戦争の話をしてくれるんです。満州の話とかね。でも年取って、免許をめし上げられちゃったので、今は電動四輪で走ってますね」
 アタックはドレスアップだけじゃなく、地域に根差したクルマ屋さんなのである。それが来やすい雰囲気の秘訣。


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こんなクルマを作りたい!
アタックのトータルコーデ術

「ウチは足まわりで知られるようになったお店から、極低車高にすごくこだわっているって思われがちなんですけど、実はそうではないんですよ。走れる低車高なんで、見る人からしたら、それほど低くないって言われると思います。でも、イベントに行って、インナーを切り上げるほど低くしても、低さだけじゃ認めてもらえませんよね。イベント会場で足を止めさせられるクルマって、エアロを加工していて、内装に手を入れて、トータルに仕上げられたクルマだと思うんです。ウチでは、極低車高にすることもできますよ。でも、極低にすると、余分になん十万円てお金がかかってしまいます。その上、行けるところも限られるので、もう1台クルマを持たなければいけないでしょう。経済的にも大変だし、クルマ代のほかに税金や車庫代も2台分かかります。その分をドレスアップにまわせば、かなりのクルマが作れますよ。だからウチは、低さだけを突出させるのではなくて、クルマ全体で見せてあげられるようにしています。その上で、速く快適に走れたら、申し分なしですから。それに、どうせイベントへ行くのなら、トロフィを獲らせてあげたいです。いい想い出になるからね。やっぱりボクらは、二十歳の頃の自分が、どこにいたのかっていう想い出を作るために、クルマをいじって、遠いところのイベントまで遠征するんですよね。そういう気持ちを若い子たちに与えられる仕事に就いているんじゃっていう認識は、ボクらもつねにもっています」

h3b.png アタック オーナーカーズ

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武田 敏男

MOVE  L175S  広島県/ATTACKERS

 アタッカーズの当初から活躍するオーナーの一人。ユーロ風にフル加工されたフロントバンパーを装着し、L175ムーヴでバッドフェイスという試みははじめて。シブいバイカラーで塗り分けられた、実は通勤快速仕様でもある。「クルマをドレスアップするようになって、初めて広島県から出るようになりました。知らない人にもスゴイってほめられるのも初めてです。嬉しいですね」という言葉が印象的。

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岡崎 貴紀

LAPIN SS  HE21S  広島県/ATTACKERS

 グリーンツートーンで塗り分けられた印象的なラパン。今年になってバッドフェイスを採用し、顔つきに迫力をプラス。機能優先でマウントされたインタークーラーで、イベント遠征の高速化も実現した。昨年は『Kスタイル』のカバーカーをゲットした。

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田中 祐介

AZ WAGON  MD22S  広島県/ATTACKERS

Kカー雑誌からワゴン誌まで、取材されまくったクルマがこれ。VWゴルフのフォグランプフィニッシャーをマウントし、北米仕様のデミオのバックランプを流用。ホイールはミニライト、さらにウインカーミラーもミニ用パーツを使うなど、流用パーツもアイデア豊富。フロントばかりか、テールレンズもバッドフェイス化されている、見どころの多い1台だ。

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岡崎 文

TANTO CUSTOM  L350S  広島県

 タントカスタム特有の純正グリルにボンネットを深々を被せるという斬新な顔まわりは、アタックならでは。精悍さを加えることに成功した。リアバンパーにはハイマウント&ビルトインマフラーを採用。RX-8のバックフォグを埋めるなど、シンプルながらも印象の強いスタイリングを実現する。実は、女子オーナーが多いお店なのだ。

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上安 健志

MOVE  L175S  広島県  ATTACKERS

 元ローライダーの上安さん。「お店に100%お任せのローライダーにくらべて、自分とお店がいろいろなアイデアを出し合えるドレスアップの方が楽しいです」。07年にはアタックで、すでにこの車高にセッティング。低く走るというアタック車高の礎となったオーナーの一人だ。

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小早川 そのみ

WAGON R  MH21S  広島県/ATTACKERS

 小早川社長の奥さま、そのみさんが駆るMN21。このクルマから、快適に走れる低車高のトレンドがはじまった。グリルに被せたバッドフェイスのボンネットや、ワンオフ加工したAMG風のフロントバンパー、ハイマウントされたビルトインマフラーなど、ボディワークもバッチリ。往年の名ホイール、ノーテレの装着や、ヘッドライトのブラックアウトなど、チャレンジングなドレスアップをおこない、トレンドを切り開く1台だ。